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はがき伝道

2018.07

  • はがき伝道 2018年7月28日

    はがき伝道  平成30年 7月 357号

     

    「人生に近道はない、まずは己事究明が先である」 

     

     桃栗三年、柿八年。

    実がなるためには時間がかかる。

    あせって結果を求めても無駄である。

    納得のいく結果を得るためには

    修養研鑽がいるのである。

     

     物事の機が熟するために必要な時間がある。

    時節因縁を感ずべし。

    途中で機が熟するまで

    我慢出来なくなって

    諦めてしまいがちだ。

    短絡的にすぐ結果を

    求めてはだめである。

    思いがけない転機が

    いつ訪れても対応できるように、

    日頃からしっかり自分を

    磨いておかなければいけない。

    怠らずに自分磨きを続けておれば

    必要とされて仕事の方からやってくるものである。

    自分磨きをしていれば、

    自然に繁栄黄金の華が咲くのだ。

     

     小さな積み重ねの努力が大事である。

    積み木も早く高くしようと

    縦にだけ積み過ぎると倒れてしまう。

    土台をしっかりと横にして

    積んでいくと

    高く積めるようなものである。

    早く結果を出そうとすることは

    人生の積み木崩しをするようなものである。

    地道にやってきたことの積み重ねによって

    人生の花は咲くのだ。

    馬鹿になりきって

    地道に生きることは大変なことだ。

    他人の目は気になり、

    横道に目が向くものである。

    しかし、一途にこの道と決めた方向を

    研鑽努力し、

    地道に生きて学習することを

    うまずたゆまず実行し

    自分磨きに徹することが

    成功の秘訣かもしれない。

    他人の芝生は良く見えるものである。

    他人に振り回されて

    横道にずれても

    自分の本筋は磨かれないことを

    覚悟すべきである。

     

     禅の世界は深く、

    知ろうとすれば

    山林に迷うがごとく、

    非力の自分を実感するのが

    本当のところである。

    禅の己事究明に徹することは

    大変なことである。

  • はがき伝道 2018年7月28日

    はがき伝道  平成30年6月356号 真福寺 

     

    「非力の菩薩、人を救わんとして溺れる」

     

     山口師の言葉が心に止まった。

    日大アメフット選手の悪質タックルが

    世間を騒がせている。

    米・北朝会談が実現するかしないかという今、

    この文章を書いている。

     

     山口師が70年代当時、

    禅の師匠に入門して間もなくのとき、

    師匠から諭された言葉が

    「非力の菩薩、

    人を救わんとして、溺れる」

    でした。

     山口師は世界平和は

    いかにしたら実現できるか

    教えてほしいと言うと、

    師は

    「まずお経を覚えろ」

    と言われたそうです。

    そこでまた同じことを師に

    「世界平和はいかにしたら…」

    と問うたそうです。

    すると、師は室内に山口師を呼び、

    上記の言葉を言ったそうです。

    つべこべ言わず、

    まず「お経を覚えろ」。

    寺の作務を専一に

    一生懸命することが大事と言ったのです。

     

     「目前心後」という

    世阿弥の言葉がある。

    眼前に起こることに

    心を囚われて

    自分の力を磨くことを忘れたら

    何もかも実現できない。

    心はいつも明鏡止水の心境で

    客観的に観察しないといけない。

    他人を客観的に見ることは出来ても、

    なかなか自分を客観的に

    見ることはできないものである。

     

     少し言葉を変えれば、

    社会批判は出来るが、

    自己の実力を磨いていく努力は

    出来ないものである。

    そのことを師は山口師に

    目前の禅寺における作法である

    「お経を覚え、作務に心を集中しなさい」

    と言ったのです。

    世間のことを気にするような時ではない。

    力を持たない自己の現実の

    今の非力な自分の姿を

    しっかり認識して、

    精進しなさいと諭されたのでした。

     

    70年代は安保、ベ平連、沖縄返還、

    成田空港反対、連合赤軍、安田講堂事件、

    三島由紀夫割腹事件、学生運動等々の

    真っ只中の時代に、

    山口師は禅の世界で生きる道を選んだのでした。