自然豊かな寺院 桜井山真福寺にようこそ | 桜井山 真福寺

はがき伝道 404号 都会のトカゲ

  • はがき伝道 2022年8月17日

    はがき伝道 令和4年6月404号 真福寺

     

    都会のトカゲ

     

    渡辺和子氏は、

    「与えられた場所で

    花を咲かせなさい」と言った。

     

    禅では

    「随所主となる」

    「一隅を照らす」

    「立所真」

    「主人公」と禅語で語っている。

     

    先日、地下鉄赤坂見附の

    歩道を歩いていたら

    トカゲが雑踏の人ごみの中で

    ちょろちょろしていた。

    お堀には魚が泳いでいる。

    こんな都会の真中で、

    “トカゲ”、“魚”、“アリ”も

    与えられた場所で

    生きているんだなと思った。

     

    人間中心のただ中で、

    自然は人間に関係なく

    悠々と息をしているんだと思うと、

    生かされている

    自分を大切にするだけでなく、

    自然の懐の深さの中で

    生かされている

    感謝を忘れてはいけないと思った。

     

    私は我の強い人間である。

    その我を捨て去ることが

    柔らかい心に生まれ変わるために

    必要だと思った。

     

    今まで私は

    「俺がやらねば誰がする、

    今やらねばいつできる」

    で生きてきた。

    そのために失ったものもある。

    家族のためにと思うことを

    大事にしてきたつもりが、

    違っていたりした。

    俺が俺がの押し売りに

    明け暮れて、

    家族や相手の気持ちを

    聞くことさえ怠っていた。

     

    相手の心を聞かねばと思うのとは裏腹に、

    自己中心で生きてきた。

    一方通行の理解で終わっていた。

    全分を分かったつもりが、

    一分も分かっていなかったのである。

    私自身が

    「随所に主となる本来の面目」を

    見直すときである。

     

    泣き笑いを一緒に分かち合い、

    一緒に助け合って生きていく。

    誰が一番先ではなく、

    みんなそれぞれの歩みをして

    心がつながっている。

    そんな安心の中で

    生きてゆくことを

    大事に生きていきたい。

    そんな思いでこれからの人生を

    歩いていくつもりです。

     

    自然の中で人間は生かされているように、

    一人では生きてゆけないのである。

    「一切我今皆懺悔」である。