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はがき伝道 395号 品を磨く

  • はがき伝道 2021年9月5日

    はがき伝道 令和3年 9月 395号 真福寺

     

    「品を磨く」

     

     心を磨くことにより上品となる。

    新潟の片田舎で

    鋸(のこぎり)の目立て職人として、

    端整な仕上がりは一流と評判であった父の姿を

    幼少期から見ていた。

    作業場に座り、

    朝から夜まで

    黙々と鋸の歯に

    一つ一つ鑢(やすり)をかけている姿を

    目前で見ていた少年は

    やがて、2002年ノーベル化学賞を受賞する。

    それが田中耕一さんの幼少期の姿であった。

     

     誰もが不可能で夢物語と

    断言された研究を

    うまずたゆまず

    コツコツ地道に

    諦めずやり遂げた成果が

    ノーベル化学賞を受賞したのである。

    その研究を粘り強く

    やり通せたのも、

    父の仕事に対する一途な姿勢、

    家の大黒柱としての厳しさと優しさ、

    勤勉実直な生き方を

    幼少期に見ていた

    若き日々があったからである。

     

     親の仕事を通して、

    磨く品性がある。

    子供の将来に

    品性を伝授する。

    愚直にコツコツ

    自己研鑽することが

    心の品性を磨き、

    生きる感動を体感することになると

    私は思います。

    2年前に旅立った父の姿を思い出した。

    いかにまだまだ愚直さが足りないことを

    気づかされた今日である。

     

     イージーゴーイングは怪我の元。

    いつも地道に

    コツコツ

    自己を磨くことである。

    まだまだ、まだまだ、

    即今只今の、

    当所当所の

    毎日を送ることが大事である。

    匿名の言葉があふれ、

    自己の存在を隠しながら

    批判することが

    大道を闊歩する時代である。

    そこには品性を磨く

    個々の姿は見られない。