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はがき伝道 419号 花

  • はがき伝道 2023年7月28日

    はがき伝道 令和5年6月 419号 真福寺

     

     

    「花は黙って咲き、

     黙って散って行く。

     けれどもその一時一処に、

     この世のすべてを託している。

     一輪の花の声であり、

     一枝の花の真である。

     永遠にほころびぬ生命のよろこびが

     悔いなく、そこに輝いている」

    柴山全慶老師

     

     春夏秋冬の一年が

    生命の全部(ぜんぶん)である。

    春は春、夏は夏、

    秋は秋、冬は冬の一部(いちぶん)の時中を過ごして、

    一年という全体の生命活動が躍動し

    次の一年に発展進化する。

    春だけにすべてを求めることを

    時流という。

    春は春の一時の姿であり、

    すべてではなく、次の夏を迎える時中である。

     

     人生は生老病死という時中を生きて、

    次の時中に生命活動を委託する。

    人生という全部の中には

    栄枯盛衰がある。

    そのどこを切り取っても、

    私の全部の一部でしかない。

    栄は一生の時中であり、

    枯も一生の時中である。

    いつまでも栄え続けることもなく、

    いつまでも枯れ続けることもないのである。

    一輪の花が咲くために

    一年の春夏秋冬を費やして、

    一瞬の輝き光を放つのである。

    生命の姿の一部が春の光であり、

    夏の光であり、秋の光であり、冬の光である。

     

     生命の全体は春夏秋冬である。

    どこかだけを切り取って、

    自分勝手に思っていくことを時流という。